100㎡以上の用途変更する際には建築基準法の確認申請の手続きをしなければなりません。
・建築物の用途については建築基準法施行規則の別記別紙に建築物の用途の区分として一覧表がある(区分用途とする)
・「区分用途」自体も複数の「部分的用途」から補完・構成されており、区分用途の主用途部分およびそれと一体として
使用・管理する部分から成る
・部分的用途には主的用途(事務室)および従的用途(会議室・応接室・廊下等)がある
・区分用途には単体的区分用途(事務所・共同住宅等)および集合的区分用途(工場・学校・病院・ホテル等)がある
・単体的区分用途は複数の部分的用途から成り、集合的区分用途は複数の単体的区分用途から成る
・一般的に呼称する用途の中には一覧表の区分用途に類するものはその区分用途になるが、それ以外に同格の用途もあれば
部分的用途もあろう。これらをひっくるめて区分用途一覧表の「その他」に区分されよう
・区分用途の建築物が複数あるとき、各建築物が用途上の不可分の関係にある場合は1つの建築物としてみなすことになる
可分であれば各建築物は別々の敷地をもつことになる
・1つの建築物における複数の用途についても同様に考えることができよう、つまり
・複数の区分用途が集合した「複合用途建築物」は不可分または可分の関係で捉えることができよう
テナントとして物件を借りる際に、その物件の用途を変更する場合、変更後の用途が確認申請とは?(1)で説明した第一号の用途、
つまり別表第一の特殊建築物になり、かつその変更後の面積が100m2(約30坪)を超える場合には確認申請が必要になります。
100m2という数字だけ見ると結構大きく感じるかもしれませんが、10m×10m、13m×8mで100m2を超えます。(大体都心のコンビニが100m2前後です。)
案外スペースとしては狭いと感じたのではないでしょうか。
この規模で、例えば下記の様に用途を変更する場合は全て確認申請が必要になるのです。
物販店→飲食店
物販店→デイサービス
物販店→保育所
事務所→物販店
たまに無責任な不動産屋さんなどは、「類似の用途になるので、確認申請はいらないですよ。」などと言うことがありますが、
「建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途」がが明確に定められていて、
上記の様な場合は基準法上の「類似の用途」にあたらないため、確認申請の提出は必要ということになります。
ここで重要になってくるのは、確認申請を提出することになると、建築基準法だけではなく、
その他の関連法規-建築基準関係規定-と、都道府県の条例にも適合させなければいけなくなることです。
これら関連法規の中で最も影響が大きいと思われるものがバリアフリー法(旧ハートビル法)です。
法文通りだと2,000m2以上の建築物に対して規制が かかるのですが、
東京都や横浜市などの大都市ではこれらを条例で、より小規模のものでもかかるようにしている場合が多く、
特に保育所や老人ホーム等の福祉施設 (建築基準法では児童福祉施設等という)は0m2から規制される場合が多いです。
保育所・託児所等設置への障害−代官山の託児所の事例−にも記載したように、
共用部やエレベーター等の動線部分の改修が必要になる場合もあり、テナント(借主)とオーナー(貸主)間でのトラブルにもつながりやすい部分となります。
また、23区内では、敷地の規模によっては開発指導要項や地区計画等の規制がかかるなど、
確認申請提出に至るまでにさまざまな届出や、お知らせ看板の設置、近隣説明などを要する場合もあり、
スケジュールに注意が必要です。
また、完了検査を受けていない物件は、用途変更の申請が出せないか、
出せたとしてもその当時の建築基準関係規定に適しているかの報告をしなければならない場合が多く、
本来は簡単な用途変更の申請に多大な費用と時間がかかってしまうという事態に陥ってしまうこともあります。
上記の様な出店、起業の計画がある方は、物件の契約をする前に必ず上記の内容程度はオーナー(貸主)と一緒に確認するようにしてほしいと思います。特に児童福祉施設や 老人福祉施設等の厚生労働省等に届出の必要な施設はそれらの届出の際に用途変更の検査済証の添付を求められることが多くなっています。
最近では省庁間で連携が進んでおり、建築基準法に適合していない物件でのオープンは非常に難しくなってきています。
松尾和博行政書士事務所
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