企業が外国人を採用する場合、一番安全に雇うことができるのが、身分系の在留資格を持つ外国人でしょう。
具体的には、日本人と結婚をして、日本に住んでいる外国人、永住権を持つケース、永住者と結婚しているケースが
挙げられます。
この他に、「定住者」と呼ばれる在留資格を持っている場合にも、企業はその外国人を雇用することができます。
多い事例では、日本人と結婚していたけれども、離婚することになり、出入国在留管理庁から「定住者」の在留資格を与えられた場合です。
その他、外国人女性の連れ子として日本に入国した場合や、先祖が日本人だった日経ブラジル人やペルー人等が、
この「定住者」の在留資格をもっているケースがあります。
実際、溶接工や建設労働者として働く外国人の中には、この「定住者」の在留資格で働き続けている人も多いのが実情です。今まで単純労働による就労を認めていなかった日本の在留資格制度の例外のようなケースなので、「指定技能」で指定された単純労働以外の業種においても採用する事が可能です。
実際の実務担当者として気をつけなければならないのは、日本人の配偶者の資格で働いていた外国人が離婚した場合、必ず変更申請により「定住者」の在留資格を与えられるとは限らない事です。
例えば、その外国人が日本人と結婚してから3年未満である場合や、ある程度の年数の婚姻期間があっても実態として別居しており、出稼ぎ目的の労働者のような形で働いていると判断されると、出入国在留管理庁はその外国人に対し「定住者」の在留資格を与えない事が多いです。
この場合、その外国人が大学を卒業しており、その勤務先の業務とある程度関連性のある学問を勉強してきたようなケースであれば、在留資格変更申請を行う事により、就労系の在留資格を取得することができます。
ところが、その企業における外国人の業務内容が「特定技能」にも該当しない荷物の運搬等単純作業である場合、身分系の在留資格から就労系の在留資格に変更する事が困難になります。
この場合、もはやその企業は、身分系の在留資格を喪失したこの外国人を雇用し続けることができなくなります。
外国人が離婚した事実を伝えず、かつ在留資格の該当性がない状態で雇い続けると、企業側も不正就労助長罪として罰金等の不利益を受ける事になります。