政府は2日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定した。
人手不足の分野で一定の技能を持つ人を対象として、新たな在留資格「特定技能」を来年4月に創設する。
経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働を受け入れることとなった。
日本の入国管理政策の大きな転換で、政府与党は今国会での成立をめざす。
入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。
「特定技能1号」
「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人が与えられ、就労可能。
最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。
在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。
「特定技能2号」
特定技能1号よりさらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人与えられる。
1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はない。
配偶者や子どもなどの家族の帯同も認められ、更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能。
10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。
受け入れ先機関は日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。
直接雇用を原則とし、分野に応じて例外的に派遣も認める。
生活や仕事の支援計画を作り、日本社会になじめるよう後押しする。
政府は日本語教育など環境整備の具体策を盛る「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策(仮称)」を年内にまとめる。
受け入れは生産性向上や女性、高齢者など日本人の労働者を確保する努力をしても人材が足りない分野に限定。
具体的には農業や介護、建設、造船、宿泊など14業種を想定している。
なし崩し的な受け入れを防ぐため、人材が確保されれば受け入れを停止する措置を盛り込み、施行3年後に制度を見直す。
景気の悪化も想定し、国内の働き手を前提とした補助的な受け入れにとどめる。