民泊事業者に事前届出、来年3月から要件や届出内容などが明らかに
来年6月にも施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)について、観光庁は来年3月から事業者(ホスト)登録の事前届出を受け付ける方向で調整している。先週末には民泊新法の施行令案と施行規則案が判明し、届出に必要な内容などが明らかになりつつある。
まず、届出を行うことができる「住宅」の条件について、民泊新法/施行令案/民泊新法施行規則案の中で触れられている条件は下記の通り。届出をすればどんな施設でも可能という訳ではなく、一定の要件がある。
条件
・台所、浴室、トイレ、洗面設備が設けられていること
・人の居住用に供されていると認められる家屋
(A)生活の本拠として使用するもの(家主が住んでいる物件)
(B)入居者募集が行われているもの(賃貸物件や売却予定物件)
(C)随時居住の用に供されるもの(別荘やセカンドハウスなど)
※(C)については、「少なくとも年1回の使用実績」などが求められる見込み
続いて、届出書の記載内容について。民泊事業者(ホスト)登録の届出は、オンラインでも申請できるようになる。記載する内容は主に下記の通りとされている。家主不在型で民泊を営む際には、管理業者への業務委託が必要なことに注意。
届出書の記載内容
・商号、名称、氏名、住所
・住宅の所在地
・届出住宅の規模
・(法人格がある場合)役員の氏名
・(営業所がある場合)名称と住所
・(家主不在型の場合)民泊管理業者の商号・名称
※家主不在型で民泊事業を実施する場合には、必ず民泊管理業者に業務委託が必要
さらに届出の際には、いくつかの書類を添付する必要がある。住宅の図面などは既に紛失してしまっている場合、再作成などの必要も出てくる。登記事項証明書は全国の法務局で入手できる。主な添付書類は下記の通りとなる見込み。
添付書類
・住宅の図面
・登記事項証明書
・転貸の承諾書(住宅が賃貸物件である場合)
・マンション等管理規約の写し(住宅が区分所有建物である場合)
※管理規約に民泊に関する記載がない場合は、管理組合が民泊禁止の方針を理事会等で決議していないか確認する。
住宅宿泊事業法施行令案と施行規則案は、今後パブリックコメントを経て最終化され、閣議決定・公布を経て、民泊新法と同時に施行される見込み。実際に公布された内容などを踏まえ、登録に向けた早めの届出準備をしていくことも、民泊事業者(ホスト)にとってはポイントとなりそうだ。
住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行令案と施行規則案が21日、公表された
住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行令案と施行規則案が21日、公表された。民泊新法に基づき、マンションやアパートの一室(区分所有)を民泊物件として届け出する場合、マンション管理規約の添付を民泊事業者に義務づけ、自治体側が民泊が禁止されていないか確認できるようにする。また、自治体の制限条例について基準を設定。騒音などによる生活環境の防止を目的に、区域ごとに禁止期間を指定することと明記した。
施行令と施行規則案はパブリックコメントを経て来月中に閣議決定・公布される見込み。その後、来年6月とみられる民泊新法と同時施行される。
民泊新法に基づき届け出をする場合には、①届出住宅の規模など②(管理業務を委託する場合)住宅宿泊管理業者の商号・名称など
③住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾の旨④住宅が区分所有建物である場合には規約で住宅宿泊事業が禁止されていない旨—を記載する必要があるとしている。
【届出書の記載事項】
・届出住宅の規模等
・住宅宿泊管理業務を委託する場合には、住宅宿泊管理業者の商号、名称等
・住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾の旨
・住宅が区分所有建物である場合には規約で住宅宿泊事業が禁止されていない旨
また届出書に添付する書類として、住宅の図面や登記事項証明書を挙げ、届け出をする住宅がマンションの一室など区分所有建物である場合には、マンション管理規約の写しが必要とした。
【届出書に添付する書類】
・住宅の図面、登記事項証明書
・住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾書
・住宅が区分所有建物である場合には規約の写し
民泊を実施する住宅の設備としては「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の4つを挙げている。また、民泊新法で規定される180日ルールの日数算定については、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とし、正午から翌日の正午までの期間を1日とするとしている。
民泊事業者に作成・管理が義務づけられる宿泊者名簿については、作成の日から3年間保存する必要があるとし、名簿は届出住宅などに備え付けることとしている。 名簿には、宿泊者の氏名と住所、職業、宿泊日のほか、宿泊者が外国人のときは、国籍とパスポート番号を記載することと明記している。
また宿泊者の衛生確保のために居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保し、定期的な清掃や換気を行うことのほか、安全確保のために非常用照明器具の設置や避難経路の表示を義務づける内容。また、外国人ゲストの快適性と利便性を確保するために、外国語での届出住宅の設備についての案内を作成・提示することしている。